中小企業診断士1次試験の学習戦略

データで見る中小企業診断士1次試験」の記事では、基本情報と統計データを分析しました。今回は、その内容受けて、学習戦略について説明していきたいと思います。

1次試験対策のゴール

1次試験を受ける時にどのような状態になっていればよいか? 全科目に共通するイメージとしては、私は、下記をすべて満たした状態で臨めればよいと考えています。

  • テキストの内容を一通り知っている(何もないと思い出せなくても、見たら「あぁ、それそれ!」となる)状態である
  • 1冊の問題集のすべての問題について、すべての選択肢で正答を選べ、さらに、誤っている選択肢はどこが・どういう理由で正しくないかが説明できる
  • 科目ごとのタイムスケジュール(試験開始後に最初にやること、1問当たりの使用時間など、試験時間である60分or90分の使い方)が決めてある
  • 科目ごとの特徴や構成、出題パターン、および自分のやりがちな間違い・ミスの傾向を把握しており、さらに迷った場合の対処策が決めてある
  • 勉強の過程で、理解が難しい・テキストを読んだだけでは覚えられないと感じた箇所について、自分なりに整理したノートがあり、かつその内容を覚えているor直前にノートを見て詰め込んで試験に挑めるようになっている

ゴールの姿に到達するには?

よく言われることですが、「テキスト・問題集を3周繰り返して身に付ける」というのが基本的なやり方です。

私も、科目によって事前知識があるもの・ないものがありましたが、完全にはじめてだった科目も、テキスト・問題集を3周した段階で合格レベルで安定するようになりました。

必要な学習時間は?

「必要な学習時間」。これ、学習を始めた頃によく私もググったんですが(笑)、人によって違うんです。前提が違うから、参考にならない情報が多いんです。しかも、期間は書いてあるけど、時間が書いてないことも多いです。「○月から始めて、受かりました(ドヤァ)」みたいな(笑)。

そこで、ここでは私の例について、なるべく皆さんの参考になるように、バックグラウンドと知識前提を踏まえつつ、時間まで示したいと思います。

学習前の知識レベル
  • 経済学・経済政策:Eレベル(合格可能性10%以下)
    • 完全に未経験、知識ゼロ
  • 財務・会計:Cレベル(合格可能性40%程度)
    • 簿記2級保持、1級の範囲を一通り学習した経験あり(忙しくなって受験できず)
    • 財務領域は、少し思い出せば合格レベル
    • 経営分析は、仕事で指標を情報システム導入時に検討した経験あり
    • 意思決定会計領域は、考え方自体は知っていたものの知識はゼロに近い状態
  • 企業経営理論:Dレベル(合格可能性20%程度)
    • 未経験、知識ゼロ
    • ただし、仕事で培ったビジネス常識や論理的思考力はあり
  • 運営管理:Dレベル(合格可能性20%程度)
    • 未経験、知識ゼロ
    • ただし、仕事で培った業務理解力や合理的判断力はあり
  • 経営法務:Eレベル(合格可能性10%以下)
    • 完全に未経験、知識ゼロ
  • 経営情報システム:Aレベル(合格可能性80%程度)
    • ずっとIT業界で仕事をしているため、最初から合格レベル
  • 中小企業経営・中小企業政策:Eレベル(合格可能性10%以下)
    • 完全に未経験、知識ゼロ
学習内容と学習時間

計算したところ、合計で780時間くらいでした。経済学・経済政策がなかなか頭に入ってこず、非常に苦労したというのもありますが、結構時間かけてしまっていますね。「中小企業診断士資格の学習時間は1,000時間」というのをどこかで読んだ記憶がありますが、1次だけで800時間近くかかってしまいました。私はあまり勉強が得意ではないのか、とても1,000時間で合格できる気がしません。実際2次は1回目はダメでしたし(笑)。

では、学習の内訳です。詳しくは「中小企業診断士1次試験対策のオススメ教材と使い方」をご参照頂ければと思いますが、TBCの教材を使いました。

  •  経済学・経済政策:250時間
    • 授業動画を2回閲覧
    • テキストと問題集を3周
    • グラフと暗記事項をすべてノートに書き出し
  • 企業経営理論:150時間
  • 運営管理:100時間
  • 経営法務:100時間
    • 授業動画を1回閲覧
    • テキストと問題集を3周
    • 複雑な内容や暗記事項をすべてノートに書き出し
  • 財務・会計:100時間
    • 授業動画を1回閲覧
    • 財務領域は、テキストは斜め読み1回のみ、問題集は3周
    • 経営分析と意思決定会計領域は、テキストと問題集を3周
    • 複雑な内容や暗記事項をすべてノートに書き出し
  • 中小企業経営・中小企業政策:70時間
    • 授業動画を1回閲覧
    • 中小企業白書領域は、時間不足のため授業と問題集で扱われた部分のみ暗記
    • 中小企業施策総覧領域は、問題集を3回繰り返して主要部分を暗記
    • 複雑な内容や暗記事項をすべてノートに書き出し
  • 経営情報システム:10時間
    • テキストを1回斜め読み
    • 知らなかった略語をすべてノートに書き出し

これ以外に、TACとTBCの模擬試験を受けました(TACは会場受験でしたが、TBCは教材購入という形式で試験1週前に自宅でやって自己採点しました)。

そして試験の結果は?
  • 経済学・経済政策     :70%台後半
  • 財務・会計        :70%台後半
  • 企業経営理論       :60%台後半
  • 運営管理         :70%台後半
  • 経営法務         :70%台前半
  • 経営情報システム     :60%台後半
  • 中小企業経営・中小企業政策:60%台前半

合計は、70%強でした。60%で合格のところをかなりの安全圏で合格したので、もっと手を抜けたのかもしれませんが、私にはあれより低い完成度で試験に挑む勇気はありません。そこを割り切れる人が、2次試験も含め最終的に有利なのかも知れませんが…。

学習を進める過程でのポイント

1次試験に関しては、常にその時点で一番の「弱点科目」を最優先に勉強することが重要だと思います。一般的に実力は、以下のグラフのように、高いレベルにいけばいくほど、伸びにくくなります。

学習時間と実力の伸びの関係性グラフ

80点を90点に持っていくのは非常に大変ですが、50点を60点に持っていくのは、それよりは低い労力で達成できます。

40点未満の科目があると足きりにあってしまうので、それを避けるという意味でも、なるべく少ない労力で効果的に点数を伸ばすという意味でも、その時点で最も「弱点科目」を補強し続ける、という進め方で臨みましょう。



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