中小企業診断士として活動を始めると、養成課程出身者にも出会う機会が多くあり、色々と話を聞くことができたので、カリキュラムについて概要をまとめてみたいと思います。
中小企業庁のカリキュラム定義
中小企業庁が公表している資料に「登録養成課程を実施するためのカリキュラム等の標準モデル」というものがあります。5章構成になっていて、章ごとにそれぞれ別のPDFファイルで中小企業庁のサイトに掲載されており、以下リンクから参照することができます。
簡単にまとめると下図のようになり、前半の経営診断Ⅰによって応用能力を身につけ、後半の経営診断Ⅱによって実務能力を身につけるカリキュラムになっています。
「実習」と「演習」
「演習」では座学やケースを使ったディスカッションなどで知識やフレームワークの使い方などを学びますが、「実習」では実際の企業の診断を行うことで実践的な経営診断プロセスを学ぶことができます。
なお、大学院系の登録養成課程では、「演習」の各テーマはそれぞれ別の科目として設定されていることが一般的なようです。
中小企業大学校や生産性本部は、「演習」期間と「実習」期間を交互に設けていて、「実習」が行われる期間は「実習」以外のものはなく、1社あたり10日間の期間は「実習」のみに専念するそうです。それに対して大学院系は、講義時限ごとに科目が設定されていて、その結果として実習と演習が並行して進むため、1社あたり1~2か月くらいかけるそうです。
経営診断実習と実務補習の違い
二次試験合格者の多くが経験する実務補習と、養成課程の経営診断実習は、ほぼ同じものだと思っていたのですが、話を聞いてみた結果、似て非なるものだということが分かりました。
実務補修は1社あたりの期間が5日間しかなく、基本的にインストラクターの指示に従って進みます。また、本業の傍らでそれぞれが作業分担して進めるため、全体のストーリーがきれいにまとまらない…ということもあったりします。
しかし、経営診断実習では1社あたりの期間が10日間あり、進行の主体は受講生になるそうで、当然、それぞれが養成課程に専念した状態で進めます。さらに成果物としては、全体のストーリーの組み立てや整合性まで、一貫したものにすることが厳しく求められます。
まとめ
養成課程のカリキュラムについて、比較しながら概要を分析してみて、経営診断実習がかなり充実したものであることが分かりました。
「養成課程は実践的な能力が身につく」と言われているのは、このような違いによるものなのかも知れませんね。