平成29年度の2次筆記試験が終わって1か月が経ち、発表が迫ってくる時期となりました。
そろそろ来年度受験に向けて、説明会の参加者募集が始まる時期になってきました。早い受験校では、12月くらいからコースが開始されるところもあります。
また、読者の方から「受験校を選ぶ時の考え方」の記事について、リクエスト頂きましたので、私見になりますが、紹介していこうと思います。
(リクエストを含め、直接お声を頂けるのは、励みになりますので大歓迎です!)
受験生を悩ませる、様々な「検討の軸」
まず、学習方法について検討する際、様々な検討の軸が出てきて受験生を悩ませます。
例えば、以下のような軸が考えられます。
- 独学 vs 受験校
- 通学 vs 通信教育
- 一次二次一貫校 vs 二次専門校
- 大手受験校 vs 小規模受験校
- 仲間作り vs 一匹狼 …などなど
複数年計画で一次試験合格を目指している段階か、次の一次試験の突破を見込んでいる段階か、二次試験の受験資格を既に持っているか、段階によっても悩みどころは違うでしょう。
最も重要なのは、自分が何を求めているか
こう言ってしまうと身も蓋もありませんが、「合格に向けた正解の道」というものはないと思います。受験生たちは皆、仕事の忙しさも違いますし、バックグラウンドも違います。当然、得意科目も文章力も、年齢も知識や技術の吸収力も、何もかも違う中では、「絶対にこれがいい」というものはないのは、仕方ないのではないでしょうか。
そうした中で、「自分にとっての正解」を考えること。これが、合格に向けた最初の一歩なのかも知れません。そして、この「自分にとっての正解」は、自分に「何を求めているのか」を問いかけていくことで、割り出していくしかありません。
では、どのような順序で、何を問えばよいのでしょうか。
最初の問いは、「一次試験の対策を教わる必要があるか?」
私が試験の勉強をはじめてから、実質まだ1年半しか経っていませんが、なかなか密度の濃い分析をしてきたと自負しています。その分析の中で得た結論の一つが、「一次試験と二次試験の学習アプローチはまったく違う」ということです。
詳しくは以下の記事を参考にしてほしいのですが、簡単に言うと一次試験は、「決まった範囲を一定以上の理解レベルに持っていけば誰でも受かる、点数試験」なのに対し、二次試験は「採点基準や正解などすべてがブラックボックスの中で一定人数のみが受かる、偏差値試験」なのです。
データで見る中小企業診断士1次試験(平成29年度版)
中小企業診断士1次試験の学習戦略
データで見る中小企業診断士2次試験
中小企業診断士2次試験の学習戦略
従って、一次試験と二次試験は分けて考える必要があります。大手などで一次二次一貫校の形態がよく見られますが、「同じ環境で続けて勉強ができること」以外のメリットはないと私は考えています。
これをを踏まえて、さらに「一次試験は独学でもやれば受かる試験だということ」を考慮した上で、「一次試験から教わる必要があるか?」これが、最初の問いです。
一次試験の学習は、独学で全然OK
「一次試験から教わる必要があるか?」の問いへの答えが、
Yesなら、一次の対策をしている受験校か通信教育が必要になります。以下のような機関が候補として挙げられます。
- 大手一貫校:TAC、LEC、大原 など
- 中小一貫校:KEC、クレアール など
- 通信教育:ユーキャン、日本マンパワー、通勤講座、資格スクエア、診断士ゼミナール、
ウェイクアップ、産業能率大学 など
Noであれば、独学が中心になるでしょう。書籍やソフトウェアが候補になります。
- 書籍で学習:TAC、TBCなど各受験校の教材
- ソフトで学習:メディアファイブ
受験校などを使うメリットとして、「質問ができる」ことが挙げられますが、今の時代、一次試験レベルの内容で、インターネットで調べて答えの出ないものはないと思います。
受験校・通信教育の「講義を受けられた方が理解が速い」というメリットについては、TBCの独学教材でも、Youtubeで他社の有料講座と同等以上の質・量の講義が無料で受けられるので、以下の記事でも詳細に紹介していますが、私はTBCをおススメしています。
なお、一次試験対策から受験校に通うと、「同じ時期に学習を始める仲間ができる可能性がある」というメリットがありますが、校舎や入学年度によって雰囲気が違ったりするらしく、必ずしも仲間ができるとは限りません。また、二次試験に合格するのは20%程度なので、二次試験対策以降も仲間としての関係が続くとは限りません。よほど一人では勉強できない人でなければ、仲間探しは二次試験対策からでもよいのではないかと私は思います。
…ということで、一次試験の対策については答えが出たとします。
二次試験の学習で重要なのは、「解答アプローチ」
では、その次に二次試験の対策を始めるにあたっての問いは何か。それは、「どの受験校の解答アプローチに、自分が最も納得できるか」だと私は思います。
まず、二次試験に関しては、私はどこかしらの機関の講座を取ることを前提に考えています。理由は、ブラックボックスな試験なので、拠り所となる考え方を身につけられた方がよいこと、そして、客観的に自分の回答を評価するためには、添削を受けることは必須だと思うからです。
従って二次試験では、完全独学ではなく受験校を活用すること、少なくとも添削付きの講座を取ることを前提に、どこを選ぶかを考える必要があります。
そしてその選択の基準として、「どの受験校の解答アプローチに、自分が最も納得できるか」を重視するのがよいと考えています。
なぜ「解答アプローチ」が重要なのか
まず言葉の定義ですが、「解答アプローチ」というのは、ここでは以下のような、試験の中で実行するすべてのプロセスに対しての対策の方法論を表しています。
- 1事例90分の試験時間の使い方、作業順序
- 与件文の読み方、読む時に気をつけること、読んだ情報の整理の仕方
- 解答作成時の文章の型、書くときに意識すること、情報の盛り込み方
この一連のプロセスは、答案練習や模擬試験、そして本試験まで、一貫して続けていく解き方の根幹になりますので、体に染み込ませて反射的に実行できるようにしていくものです。
このような「解答アプローチ」は、ある程度の共通点はあるものの、基本的に受験校ごとに違います。それによって、導き出される模範解答も、受験校ごとに違います。様々な受験校が二次試験の模範解答を出していますが、どこも違ったものになっているように、それを導きだしている「解答アプローチ」も違うんです。
そして、その各校のアプローチと本人の考え方の相性が一番重要だと、私は思います。相性が良くないと、答案練習などで示される模範解答や解説に、いちいちストレスを溜めることになります。通いはじめてから本試験まで、ずっとです。そもそもの考え方が合っていなければ、質問してもその「腑に落ちない感」は、なくなることはありません。
なので、まずは興味のある受験校の教材を1つずつでも買ってみて、どれに最も納得できるか、を考えてみるのがよいと思います。一般販売していない場合は、問い合わせて個別説明会を依頼して、方法論や教材などを見せてもらうなどして、情報を集めてみてください。顧客になるかも知れない相手なので、たいていの場合は親切な対応をしてくれるはずです。
TACとTBCであれば、下記で試せば判断できると思います。
AASは、直販サイトで「2次試験事例問題の解法」を売っていますし、MMCは最新の2次試験の模範解答をWebサイトから請求できたり無料添削を体験できたりします。
まずは、各校の「解答アプローチ」の情報を集めて考え方を理解して、合うところを見つけるのが第一歩だと思います。本サイトでは、以下の受験校について紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
2次対策受験校情報「TAC」編
2次対策受験校情報「TBC」編
2次対策受験校情報「MMC」編
2次対策受験校情報「AAS東京」編
2次対策受験校情報「KEC」編
他にも、小規模の受験校などもありますが、基本的に上記に挙げたような受験校で学んで合格した個人が、自分の体験を基にして教えているだけなので、最初は信頼性の高い規模の受験校から始めることをおススメします。
受講形態をどうするか
自分に合うところが見つかったとして、そこが通学と通信教育と両方を提供してる場合、どう判断するのがよいか、悩まれる方もいるかと思います。まず、メリットを整理してみます。
まず、通学のメリットは以下のように、主に人間関係と精神面でしょう。
- 毎回、先生に直接質問ができること
- 仲間ができるかも知れないこと
- 毎週時間が決まっているので、勉強の強制力になること
- 双方向的な授業で当てられたりするので、緊張感をもって臨めること
一方、通信教育のメリットは、以下の通り、圧倒的な時間効率です。
- 勉強の時間を選ばず、柔軟に進められること
- 移動時間が不要で、時間効率が高いこと
- 早送りでの再生や繰り返し視聴ができて効率的にインプットできること
従って、受講形態については、「仲間が欲しいとかライブ授業で刺激を受けたいとか、そういった部分をどうしても優先したいかどうか?」という問いになります。
Yesならば、通学。Noならば、通信がよいと思います。
他の生徒の質問やオフレコ話など、通学でしか聞けない話がある、といったことを気にされる方もいらっしゃいますが、私はそこは気にしなくてよいのではないかと思います。なぜなら、重要な内容であればそもそもテキストに載っているはずですし、他の生徒の質問などは良い質問より、時間のムダと感じる質問の方が多い印象があります。オフレコ話についても、なぜオフレコかと言うと、根拠が弱い話だったり、実事例を含んでいたり、など「証拠として残ったらマズイ」話が含まれるというだけで、それが試験の合格にどれだけ役に立つのか?というと疑問符がつきます。何より、通信でも質問は受け付けているので、気になること・知りたいことは積極的に聞いてしまえば、対応してもらえますので、それで十分だと考えています。
また、仲間づくりとしては、勉強会という方法もあります。私は使ったことがなく、詳しくありませんが、FacebookやWebサイトを中心としたオンライン型や、公民館の会議室などに集まる地域型など、様々なものがあります。必要な方は、探して連絡を取ってみるとよいのではないかと思います。
結局は「最後まであきらめず努力を続けられるか?」
ここまで、受験校選びの際の考え方について色々と挙げてきましたが、結局のところ、自分にとって「最後まで迷わず・諦めず努力を続けられる環境とはどういうものか?」ということに集約されます。
私が最も重要視するのは「解答アプローチとの相性」ですが、それも含めて、「1年間続ける環境として、どこが自分に最も合っているのか」という観点で、人の言うことにあまり気をとられずに選ぶことをおススメします。