本記事は「中小企業診断士各受験校の合格率(2017年1月版)」の更新版です。
中小企業診断士試験の合格を目指すにあたって受験校をどこにしようか、と考える際、やはり気になるのは「合格率」ではないでしょうか。今回は各受験校の合格率を算出してみたいと思います。
利用するデータ
今回の合格率算出には、厚生労働省の教育訓練給付金制度の登録データを使います。
※ 「講座を探したい」→「分野・資格名から検索」→制度を「一般教育訓練」に指定→「中小企業診断士試験」にチェックを入れて検索
このデータは、教育訓練給付金制度の対象講座しか含まれませんので、全体とは異なりますが、平成29年度は全国のTAC合計で2,400人が修了しており、多くの受講生に利用されていることが分かります。1次試験受験者が約17,000人、TACの1次公開模擬試験の受験生が非TAC生も含んで約4,000人であることを考えると、十分有効なデータだと考えていいでしょう。
各受験校の各講座ともに、年度によってデータがあったりなかったりするので、今回の算出においては、受験校単位のデータを同じ尺度に共通化するため、また、受験校間での比較もしやすくするため、以下のように集計を行います。
- 登録されている平成27年~29年の3年分のデータを合計
- TACや大原など校舎によってデータが分かれている場合は、受験校単位に集計
- 講座は、1次対策・1次2次ストレート対策・2次対策の3種類に集計
- 通学講座と通信講座は区別せず、集計
- 本科・速修など期間が異なるものも区別せず、集計
なお、今回登録されていたのは以下受験校でした。登録養成課程は除いて分析します。
- KECビジネススクール
- LEC東京リーガルマインド
- TAC/Wセミナー
- TAC岡山校
- TAC金沢校
- TAC高松校
- 大原簿記情報医療専門学校名古屋校
- 大原簿記専門学校大阪校
- クレアールアカデミー
- 新技術開発センター
- SLA
- 城西国際大学大学院 ※登録養成課程
- 東洋大学大学院 ※登録養成課程
- 日本マンパワー ※登録養成課程
講座種類別 集計結果
では、早速集計結果を見ていきましょう。まずは、講座種類で分けて集計した結果です。
1次対策講座の合格率
修了者 | 受験者 | 受験率 | 合格者 | 合格率 | ||
TAC | 1次対策 | 322人 | 275人 | 85.4% | 79人 | 28.7% |
LEC | 1次対策 | 30人 | 19人 | 63.3% | 4人 | 21.1% |
KEC | 1次対策 | 41人 | 41人 | 100.0% | 18人 | 43.9% |
新技術開発センター | 1次対策 | 29人 | 23人 | 79.3% | 10人 | 43.5% |
前回に引き続き、「新技術開発センター」はあまり有名ではない機関ですが、高い合格率を維持しています。
1次2次ストレート対策講座の合格率
修了者 | 受験者 | 受験率 | 合格者 | 合格率 | ||
TAC | 1次2次ストレート | 4,511人 | 3,522人 | 78.1% | 464人 | 13.2% |
大原 | 1次2次ストレート | 34人 | 30人 | 88.2% | 6人 | 20.0% |
クレアール | 1次2次ストレート | 200人 | 163人 | 81.5% | 24人 | 14.7% |
KEC | 1次2次ストレート | 63人 | 63人 | 100.0% | 24人 | 38.1% |
2次対策講座の合格率
修了者 | 受験者 | 受験率 | 合格者 | 合格率 | ||
TAC | 2次対策 | 2,267人 | 2,139人 | 94.4% | 496人 | 23.2% |
大原 | 2次対策 | 34人 | 32人 | 94.1% | 8人 | 25.0% |
KEC | 2次対策 | 82人 | 82人 | 100.0% | 33人 | 40.2% |
SLA | 2次対策 | 12人 | 12人 | 100.0% | 7人 | 58.3% |
1次2次ストレート講座に比べて、1次対策講座が全体的に合格率が高いですが、こちらは1次試験に合格したら合格とみなすためかと思われます。従って、1次を目標とする講座と、2次を目標とする講座に分けてグラフ化してみます。
受験校別・講座種類別 1次試験合格率グラフ
受験校別・講座種類別 2次試験合格率グラフ
SLAが圧巻ですね。平成28年度が3人中3人合格、平成29年度は9人中4人合格となっています。新宿二丁目のメイン通りにある個人塾で、マイナーな受験校であるため、様々な受験校を渡り歩いてからたどり着く受験校でしょうから、多年度生が来るため受講生の知識レベルが高いというものあると思います。また、一つのテーブルに座れる人数が曜日ごとに設定されているコースの定員なので、講師の目が届くというのもあるのかも知れません。
受験校別 集計結果
次に、2次試験の合格率について、さらに講座種類を横断して受験校単位に集計してみます。
受験校別合格率
修了者 | 受験者 | 受験率 | 合格者 | 合格率 | |
TAC | 5,810人 | 4,568人 | 78.6% | 618人 | 13.5% |
大原 | 111人 | 106人 | 95.5% | 40人 | 37.7% |
クレアール | 204人 | 151人 | 74.0% | 26人 | 17.2% |
KEC | 35人 | 35人 | 100.0% | 15人 | 42.9% |
SLA | 12人 | 12人 | 100.0% | 7人 | 58.3% |
受験校別合格率のグラフ
予想していたよりも差が大きいですね。
なお、2016年12月の講座説明会で、MMCもAASも平成28年の合格率は30%台後半であったと聞いています。いずれも2次専門の受験校であり、受験経験者が再チャレンジを期して通うことがほとんどである講座です。KECはそれらと同程度の合格率であることから、同様に受験経験者が多くを占めているということなのではないかと予想されます。
基本的には2次試験の合格率は、再チャレンジ組は、どこに通っても大体40%程度、と言えるのではないでしょうか。通える人はSLAにも注目してみてもよいかも知れません。