関連資格は必要か?「ビジネス実務法務検定」編

関連資格としてよくオススメされている資格「ビジネス実務法務検定」。範囲に共通性があって、学習に相乗効果が得られて、資格まで取れてしまう、と言われています。

そこで今回は「本当にそうか?」を検証すべく、実際にビジネス実務法務検定のテキストを見て確認してみました。その結果を基に、「中小企業診断士を目指している中での、ビジネス実務法務検定という資格」をどう考えるべきかについて見ていきたいと思います。

法律分野が関わってくる科目は? 対策すべき科目は?

まず、法律に関わる分野は、1次試験で「経営法務」をはじめ「企業経営理論」「運営管理」などいくつかの科目に含まれています。しかし、「経営法務」以外では他分野の比重が圧倒的に高く、法律分野はオマケのような扱いで設問数も少ないため、マニアックな論点に力を入れるよりは、メイン分野に力を入れた方が学習上、効果的であると言えます。過去問や頻出論点をおさえておけば十分でしょう。なので、法律分野を扱う科目として特に気にするべき科目は、実質的に「経営法務」のみと言えます。

次に、2次試験ですが、こちらでは科目として存在しませんし、4つの事例の中で法律的な知識を問われることは、まずありません。

ビジネス実務法務検定と中小企業診断士試験の対応関係

中小企業診断士試験の出題範囲を意識した場合、関連するビジネス実務法務検定試験は、3級および2級になります。

まず中小企業診断士試験で出題の比重が高い会社法は、ビジネス実務法務検定2級の内容が近いです。その他の範囲では3級が近いことが多いですが、2級の内容が細かすぎるのはもちろん、3級の内容ですら範囲が広すぎて内容も細かすぎるというところがあったり、2級と3級どちらにも含まれていない範囲も一部あったり、などちょっと対応関係が複雑です。

中小企業診断士試験受験生としては、必要な主要範囲をカバーするためには3級と2級が必要となりますが、いざ学習するとなると、2級だけでなく3級でも論点が細かすぎたり範囲が広すぎたりする部分が含まれることを覚悟する必要があります。

ビジネス実務法務検定を取る目的は?

ここで改めて、中小企業診断士受験生にとって、ビジネス実務法務検定を取る目的を考えてみてください。

  • 会社で取得を推奨されているため、または会社の実務で必要であるため
  • 中小企業診断士1次試験「経営法務」の学習効果を高めるため
  • 中小企業診断士として独立後、法律に関する専門性をアピールできるため

自分の会社で必要なのであれば、迷うことなく取ればよいと思います。もともと必要な状況で、「経営法務」の学習効果も上がるのでしたら、一石二鳥、素晴らしいことだと思います。

しかし、「経営法務」の学習効果を上げることだけが目的だとしたら、そのために必要ない範囲や必要以上の細かさの知識を学習するのって、どうなのでしょうか? 私には、非効率なことにしか思えません。

さらに、仮に受験して合格しても、手にするのは、とても専門家とは名乗れない資格です。 経営者は、基本的に法律に関しては弁護士に相談します。経営相談の中で、たまたま話に出た法律的な「あれって何だっけ?」には答えられるかも知れませんが、そもそも中小企業診断士が求められる価値はそこではありませんし、期待もされていません。「ビジネス実務法務検定2級を持っています!」と言ったところで、「ふーん。(いいよ、法律的なことは弁護士先生に聞くから)」と扱われるのがオチで、この分野に中小企業診断士などの出る幕はありません。

そう考えると、検討の基準はあくまでも「中小企業診断士受験に役立つか」ということになるかと思いますが、その意味では、必要な知識が複数の級に分かれたり、範囲の対応関係も複雑だったりするので、非常に役立てにくい、扱いにくい資格だと言えます。

まとめ

中小企業診断士試験とビジネス実務法務検定は、学習範囲やその細かさが異なり、対策も異なるだけでなく、3級と2級に渡っての学習が必要になってしまいます。さらに合格して資格を取得しても、大したステータスは得られませんし、しょせん、1次試験だけの科目です。

従って、あえて受験するメリットは少ないです。余計なことを考えず、中小企業診断士試験の対策教材で学習を進めるのがベストだと思います。


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