関連資格は必要か?「FP」編

関連資格としてオススメされていることは多くなく、中小企業診断士試験業界では注目されていない資格「FP技能検定」ですが、中小企業診断士の保有資格では何とシェアNo.1!

一体どういうことなのか、注目される理由は何なのか。これを知るために資格制度と学習内容について調べてみました。さらに昨日2017年1月22日にFP3級を受験しましたので、その経験も踏まえながら、実態に迫ってみたいと思います。

中小企業診断士の保有資格データ

中小企業基盤整備機構が運営する中小企業への情報発信サイト「J-Net21」では、中小企業診断士に関する情報を掲載している「中小企業診断士の広場」というコーナーがあります。ここで、定期的に中小企業診断士の統計データを発信している「データで見る中小企業診断士」という企画があり、最新では「データで見る中小企業診断士2016」が発表されています。この中に「中小企業診断士以外の保有資格」というデータがあるので、これをグラフ化してみます。

中小企業診断士の保有資格構成比グラフ

まず、このデータの対象となっているのは、中小企業診断協会の正会員9,457名のうち、平成27年11月の調査に協力した1,992名です。

中小企業診断士登録者数は、平成27年7月1日時点で23,415名ですが、中小企業診断協会への会費は東京都だと50,000円(都道府県によって異なる)かかりますので、協会を活用したいと考える人しか会員になっていません。「資格を取って満足した」あるいは「自社の仕事が忙しくて活かせない」自己研鑽目的の診断士は協会から離れていくため、協会の正会員は、独立診断士や協会のネットワークを活用したい企業内診断士が中心と思われます。

その中で約5人に1人が回答して集計されたたのが上記データであり、この結果で「なし」を除いた場合のトップを飾っている資格が、「FP」です。

FP資格について

FPの資格には、国家検定「FP技能検定」と日本FP協会の資格「CFP・AFP」があります。「FP技能検定」は1級~3級があり、「CFP・AFP」は、CFPとAFPの2種類があります。資格制度が異なるため、厳密には色々と違う部分があるのですが、レベル的には、FP技能検定1級≒CFP、FP技能検定2級≒AFP、とざっくり捉えると分かりやすいかと思います。

様々なマネー系のサイトの記事を見ていると、CFPまたはAFPの肩書を持った人が投稿しているケースが多いように感じます。

中小企業診断士以外の保有資格」では、何を持っている人を「FP」としているのかは分かりませんが、2級≒AFP以下であれば、比較的取得しやすい資格であるというのも多い理由の一つかも知れません。

中小企業診断士試験との関係性

次に、中小企業診断士試験とFP技能検定3級の関係性を見てみると、学習範囲は以下のように多少の重複が見られます。

  • 「ライフプランニングと資金計画」での現在価値/将来価値の計算 ⇔ 1次「財務・会計」
  • 「金融資産運用」でのポートフォリオ・デリバティブ知識 ⇔ 1次「財務・会計」
  • 「金融資産運用」での経済に関する知識 ⇔ 1次「経済学・経済政策」
  • 「不動産」での都市計画法・建築基準法の知識 ⇔ 1次「運営管理」
  • 「相続・事業承継」での相続に関する法律知識 ⇔ 1次「経営法務」

もちろん、中小企業診断士試験とは関係のない学習範囲も多いですが、中小企業診断士試験の学習をしてからであれば、比較的取り組みやすいです。

しかし、「中小企業診断士試験学習との相乗効果を狙って受ける試験」としては、あまり効果があるとは言い難いです。

なぜ中小企業診断士にFP資格保有者が多いのか

では、なぜFP資格保有者が多いのでしょうか。これには、独立した中小企業診断士に関係性の深い2つの側面があるためではないかと私は考えています。一つは、独立した自営業者としての側面、もう一つは、中小企業経営者をサポートするコンサルタントとしての側面です。

独立した中小企業診断士は、コンサルティングという事業を行う自営業者(または会社経営者)になります。そうなると、会社員と違って自らの将来に対して責任を持つ必要が出てくるだけでなく、自分の事業の確定申告と納税も必要となります。そうした時に、必要な知識である以下の6分野の知識を体系的に学ぶことができるのが、FP資格なのです。

  1. ライフプランニングと資金計画 :社会保険、年金など
  2. リスクマネジメント      :生命保険、損害保険など
  3. 金融資産運用         :金融商品、投資商品など
  4. タックスプランニング     :所得税、住民税、事業税、税控除、税額計算など
  5. 不動産            :不動産取引、不動産の税金など
  6. 相続・事業承継        :相続税、贈与税、財産評価など

さらにFP2級・AFP以上になってくると、中小企業事業主に関するテーマも増えてくるので、中小企業経営者の資金や財産に関するサポートもできるようになっていき、コンサルティングの幅も広がることになります。

こういったところが、中小企業診断士の活動と相性がよいため、FP資格保有者の多さに関係しているのではないかと私は考えています。

まとめ

FP資格は、中小企業診断士試験に合格する、という意味ではそれほど相乗効果が働くような資格であるとは言えないと思います。

しかし、その後の独立や中小企業診断士としての活動を考えた時には、学習できる内容からも、現状既に保有している中小企業診断士が多いことからも、役に立つ資格であると言えるでしょう。

中小企業診断士資格取得後など将来的にでも、取得を視野に入れてみてはいかがでしょうか。


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