私が買った中小企業診断士2次試験対策教材レビュー(1/4)

中小企業診断士2次試験対策の費用」の記事では、私が教材にかけた費用についてご紹介しました。今回は、そこで挙げた教材の中でTBCの教材・模試とTACの模試について、「やってみて、実際どうだったのか?」というホンネレビューをしていきたいと思います。

評価は、「1:不要」★☆☆☆☆ ~ 「5:必須」★★★★★ の5段階で行います。

買った教材リスト

再掲になりますが、まず買ったものはこちら。

では、早速レビュー!

TBC編

TBC通信講座の前提となる教材で、私は2次試験の学習を開始した時に使いました。1次試験対策と同様、Youtubeで講義動画が無料で見られます。

設問文や与件文に記載されている情報から、求めらている設問の意図を類推してそれに関わるテーマに一般化し、さらにそのテーマに関わる詳細情報を自分の知識から取り出して、解答として組み上げる、という解答プロセスの習得を目的としています。過去問を部分的に使いながら、「与件文のどの部分」が「どのように一般化されるか」、そして「関連する知識を関連付けるか」を練習できる流れになっています。

事例Ⅰ~Ⅲについては、過去3年分の過去問を使って、「テーマの一般化」までの練習ができるようになっていますが、最終的な設問の解答までは載っていません。あくまで方法論を把握するための教材、という位置づけで、解答は過去問題集を別途購入してほしいということのようです。

事例Ⅳについては、MD(Merit/Demerit)分析という、SWOT分析を少し簡略化した枠組みで、与件文と財務データ両方を分析する手法を使います。例題として、重要テーマについて、一問ずつ問題と解答が載っています。

巻末(といっても100ページ近くありますが)に、2次試験で必要な知識のうち、重要なものが事例別にまとめられています。与件文・設問文から得た情報をここの知識に結び付けて、その中の知識を解答に落としていくことになるため、知識があやしい場合はまずこの巻末パートを覚えるところから始める人が多いと思います。

使った感想としては、2次試験初心者が最初に使う教材ではなかったかな、と感じています。解法プロセスのアプローチ自体は正しいと思いますが、実際にできるようになるのが私には難しかったです。過去問を使ったプロセス演習で巻末の知識と結びつけるところで、完全に適合するものがなく、類似するものを「関連知識」として結び付けていたり、「中小企業白書の知識」が網羅感なく足されていたり、個人的に違和感を感じるところもあって、マスターするところまで到達することはできませんでした。既に2次試験の受験経験があって知識が固まっている人の方が、適合しやすいのではないかと思います。

また、事例Ⅳの経営分析は「全ての指標を計算する」のが前提の解法になっている(ように見える)ため、私は最初、その通りやっていたら毎回時間が足りなくなってしまっていました。

感想としては、まず過去問が取り上げられている割に解答は示されないのが歯がゆく感じました。そして、過去問題集も含めて一通り1周終えたものの、解説で言われているような「具体→抽象→具体」プロセスを自分で再現できる気がせず、事例Ⅳの経営分析も「このやり方に従っていたら絶対に終わらない」と思ったことから、他の方法論を探すことになりました。

前述の速習テキストを使う場合、まず間違いなく買うことになる過去問題集です。TBC流の解答とそれに至るプロセスが詳しく説明されていて、無料のYoutube講義動画も見られるので、お得感があります。

ただし、これはTBCの教材全般に言えることですが、たまに「非常に高尚な」解答が見られます。「ふぞろいシリーズ」などと解答同士を見比べると、よく分かりますが、極めて深い分析・高度な知識を基に作られた解答になっています。そういった解答が、何点と採点されるかは知る由もありませんし、「合格するため」に必要なレベルかどうかも分かりません。新しい視点が学べて非常に勉強にはなりますが、メイン教材として、ここに書かれた解答を目指すのはリスクがあるかも知れません。

他の教材で事例を一通り頭に入れてから、立ち読みすればいいのではないかと(爆)。

直前期に現れる短期講座で、事例Ⅰ~Ⅳ×4回分の通信添削が受けられます。この講座が出てくるまでは、12月受付開始の「2次集中DVD通信講座」をやっています。どちらの講座でも、月1回程度、水道橋教室でやっているスクーリングに、1回3,000円で参加できます。

申し込むと事例の冊子と解説講義DVDが届くので、解いて郵送すると、約2週間後に結果が受講生用専用サイトにアップされます。受講生専用サイトでは、受講生たちの採点結果を踏まえた講評動画も見られます。

事例については、与件文のクオリティは高かったと思います。過去問を解くのと同じ感覚で取り組むことができました。その一方、設問については、「特定の知識の定着」を目的にしているのか、毎回、過去問の傾向とは明らかに異なる無理矢理感のある設問が1問くらいねじ込まれていて、違和感を覚えました(※)。添削・採点は、概ね、納得できるもので、よかったと思います。アドバイスは若干端的で、設問ごとにさらっと1~2文書いてあることが多い感じです。 ※2016年度のコースについての感想です。

なお、TBCでは資格取得後のキャリアサポートとして、執筆のためのライティング講座を行っているのですが、この講座の受講生であれば、一般が5万円のところを無料で受けられる、というメリットがあります。

私は、1次試験後に始めたため、「添削結果が2週間後」というのが非常に長く感じました。日々学習していると、2週間前の自分なんてもう別人です。毎回、現在の自分だとまったく異なる解答になってしまう状態となるのため、添削結果を役立てるのが難しかったですね。

添削結果の返却が遅く、違和感のある設問が含まれていたりなどはありますが、採点結果はだいたい納得できると思うので、悪くない講座だと思います。キャリアサポートを視野に入れつつ添削機会を得たいなら、取ってもいいかも知れません。

  • 模擬試験                    :  8,900円   評価:★★★★☆

通信講座と違って違和感のある設問は見られませんでした。傾向に沿った形で与件文・設問が体験できる試験で、オススメできます。※2016年度の試験についての感想です。

難点を挙げるならば、受験者数の少なさです。2016年度の試験は、178名でした。本試験の受験者数が5,000名弱で、TACの模試は2,352名であることを考えると、ランキングなど他者との比較の信頼性に不安はあります。

あとは、採点者数の制約上、仕方ないのかも知れませんが、結果の返却は約1か月後です。

TAC編
  • 模擬試験                    :  7,200円   評価:★★★☆☆

こちらはさすが業界最大規模だけあって、本試験の受験者数が5,000名弱に対して2,352名と、ほぼ半数の受験者を集める試験になっています。成績表もグラフがついていて、TBCより一手間かけて見やすくなっており、講師の7ページにわたる全体講評もついてきて豪華です。

ただし与件文・設問については、過去問と比べると、どこか違和感があって、試験中は「似て非なる問題を解いている」という感じがしていました。クオリティに関しては、TBCの方が高いと思います。※2016年度の試験についての感想です。

結果の返却は、こちらも約1か月後です。

続きはこちら→「私が買った中小企業診断士2次試験対策教材レビュー(2/4)

今回紹介した教材(最新版)



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