実例に学ぶ2次試験のセオリー「中小企業ビジネスジャーナル(2017年1月2日)」

中小企業診断士としての情報収集の一手段として見逃せないテレビ番組の一つに、「中小企業ビジネスジャーナル」という番組があります。

BS11で、毎月第一月曜日の23時から放送している番組で、中小企業の取り組みの事例などが解説と共に紹介されます。大企業勤務者など、中小企業の経験が不足している人にとっては現場感覚が疑似体験できる素晴らしい番組だと思いますので、一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

さて、この「中小企業ビジネスジャーナル」で2017年1月2日に放送された中で、2社が「元気をくれた中小企業アワード」という賞として表彰されていました。この2社の事例を見た際、「あれっ、これって2次試験のセオリーそのままだ!」と感じる部分が幾つもあったんです。

つまり、2次試験のセオリーというのは、中小企業の取り組みのベストプラクティスであり、中小企業診断士のセオリーである、ということなのだと思いました。

今回はこの放送で扱われた事例で見えたセオリーについて、見ていきたいと思います。

※ 動画はYoutubeにアップロードされているようですので、興味ある方は探してみて下さい。著作権的に問題のある動画である可能性があるため、本サイトでは掲載しません。

株式会社 五常

2016年7月4日により詳細に取り上げられた同社ですが、1月2日放送では表彰にあたっての説明が趣旨のため、その要約版でした。放送ナレーションは、以下のように説明します。

元々は、ホームセンターなどの店舗の設計、施工を専業で行っていた株式会社 五常。しかし、取引先一社に売り上げを依存する状況が続き、会社の経営状況は悪化の一途をたどってしまいます。

そこで、新たな事業の柱を模索する中、思いついたのが、工事の際に利用していた台車を使ったレンタルビジネスでした。山口先生が主催する中小企業サポートネットワーク「スモールサン」にも参加している同社。学びを活かし、隣接異業種に挑戦していく姿が印象に残りました。

BS11 「中小企業ビジネスジャーナル」2017年1月2日放送より

過去に取引先との関係を活かした成長があり、その後、受注の減少に伴った危機が訪れ、自社の既存資源を活かした新たなビジネスを生み出すことによってそれを乗り越えた…。まるで、事例Ⅰを見ているかのような展開ですね。この後に、複数の事業運営に伴う人事・組織の課題が発生していたら、もう事例Ⅰそのまんまです。多角化の方向性を考える、という視点では、事例Ⅲにも通じるところがある、とも言えますが。

非常に短いこの事例ですが、含まれているセオリーは2つもあります。

  1. 取引先を一社に依存するのは危険なので、取引先拡大によるリスク分散を図る
  2. 新事業を開始する場合は、既存事業で培った強み・資源を活かせるビジネスを選ぶ

いずれも2次試験で頻出のセオリーですね。

株式会社 サンテック

同社は、詳細には2016年8月1日に取り上げられましたが、同様に1月2日放送では要約版で、以下のような説明がなされました。

[ナレーション]
半導体のシリコンウエハーを中心に、切削・研磨といった超微細加工を得意とする同社。ダイシング加工という加工技術が世の中に誕生した当初から、装置メーカーと協力しながら独自の技術力を身に付けてきました。今では、大学や企業はもとより、JAXAといった機関からも、その高い技術力が評価を受け、頼りにされている存在です。

[解説コメント]
あのダイシングという技術は、髪の毛よりも細いブレードで切り出す技術ということで。しかも、小ロットもやっているということで。素晴らしい技術(力)ですね。

BS11 「中小企業ビジネスジャーナル」2017年1月2日放送より

長い期間をかけて磨いてきた独自の高度な技術を持ち、他の会社・機関と連携しながら、技術を活かしたビジネスを展開している…。こちらは、事例Ⅲですね。この後、現在の工場運営でできていない改善すべき点が出てきたり、今後のビジネスチャンスにつながる顧客ニーズが出てきて、それに向けた事業展開の課題の話が出てきたら完璧です。

こちらも非常に短い事例ですが、3つもセオリーが含まれています。

  1. 長い時間をかけて磨いてきた高度な技術は、他社が真似できない圧倒的な強み
  2. 他の会社や機関との連携は、ビジネス拡大や課題の突破口になる可能性がある
  3. 多品種少量が求められるようになっている現在において、小ロット化は重要

こちらも、超頻出のセオリーです。

まとめ

試験のために作られた2次試験の事例ですが、そこで問われる内容は、現実の中小企業に通用するセオリーであることが分かりますね。

このように、テレビで実際の事例に触れながら、2次試験の学習をすると、気分転換になるだけでなく、理解もより深まるのでオススメですよ!



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