中小企業診断士1次試験が終わり、そろそろ2次試験の申込がはじまります。今回は、この申し込みにあたって、とても重要な情報を書いていきます。
中小企業診断士2次試験と受験地区の関係
まず、前提として、2次試験は競争試験です。(ここで「えっ?」と思う方は、以下の投稿をご覧ください)
この競争試験において、「合否と受験地区は影響するでしょうか?」
私の分析の結論としては、「影響する可能性が高いです」
「そんなことは…」と思いますよね。私も、そう思っていました。ですが、既に診断士として活動している仲間に話を聞いたり、自分で分析をしてみたりしたところ、どうやら影響しているようだと思うようになりました。以下、その根拠を見ていきます。
「東京」という地域
まず、中小企業診断士試験において、東京という地域は極めて特殊です。下図は平成29年度の2次試験の申込者数ですが、圧倒的に東京に集中しています。
現状、中小企業診断士資格は「大企業勤務者の自己研鑽」の意味合いも強く、大企業の中にいて幅広いスキルを求められる立場にある、「資格で箔を付けたい人」が受ける例がよくみられます。このような経営に近い立場にいる人の多い本社機能が多く立地しているのが「東京」です。
「東京一極集中」という言葉もメディアでよく見られますが、以前から優秀な学生が大学進学を機に東京に出てきて、そのまま帰らずに東京で就職してしまうことが地方では問題視されています。詳細はここでは触れませんが、この対応として、東京の私立大学で定員抑制が行われたりなど様々な施策が行われています。そもそも、進学のタイミングで東京に来る人というのは、地方では上位の優秀な層です。その人たちがそのまま残ってしまうのが「東京」という地域なのです。
さらに、診断士試験の受験校も多く立地していて、オフレコ・オンレコ関わらず得られる情報が多いため、診断士試験対策も行き届いている地域です。
このように上位の優秀者が集まり、その中で経営に近い立場にいる人が多い、という特性を持つということから、「東京」で2次試験を受ける層のレベルの高さが窺えると思います。
それでは、実際に合格者の割合はどうなのでしょうか?
東京地区の申込者・合格者の割合
中小企業診断協会の試験の統計データを見て分析してみると、
まず、東京地区の申込者の割合は、平成18年度から29年度まで60%~62%程度と一定です。
一方で合格者の割合を見てみると、平成28年度までは、数回の例外を除いて申込者数に近い割合で推移していました。
レベルの高い受験生が集まっているはずの東京が、平成18年から平成28年の11回のうち、3回を除いた8回も「申込者の割合と合格者の割合が同程度」というだけでも不自然だと言えますが、平成29年度は「合格者の割合が、5%以上も申込者の割合を下回って」います。
「中小企業診断士は、東京に偏っていて、地方ではニーズがあるのに不足している」というのは、診断士仲間との会話でよく聞く話です。このことから、平成29年度試験ではこの調整を、受験段階で行ったのではないか?という推測が成り立ちます。
受験地区ごとの合格率の比較
平成18年度から29年度の通算で見ると、平均値である19.1%から±1%程度であり、地域ごとの差はあまり大きくありません。レベルが高いはずの東京は、札幌に次いで2位です。
続いて、各年度の地域別合格率を見ていきます。東京以外は母数が少ないので変動が激しいですが、取り立てて傾向があるようには感じません。
合格率では規則性は見られなかったので、合格者数を見てみます。これを見ると、一目瞭然で分かると思います。各地域で明らかに、それぞれ一定の幅に収まるようになっていることが読み取れますね。
つまり、結論としては、各地域で「合格者数」に基準値があって、その基準値の範囲で合格者が決まるようになっている、ということが言えると思います。
そして平成29年度は「東京」に割り当てられた合格者数の基準値が減らされた、ということなのでしょう。
東京地区在住者は地方で受験すべし
最初に述べたように、東京の受験者のレベルは高いです。さらに、平成29年度のような、診断士需要対応のため、東京に割り当てられた合格者数の減少が、今後も維持されることも十分に考えられます。
この厳しい東京の競争の中で戦い、合格を勝ち取るのは至難の業です。東京で受験を予定されている方は、あえて他の地域で受験することを検討してみてはいかがでしょうか。
中小企業診断士の立場としては、地方の合格者数が増えるのがよいことだと思います。しかし今回は、受験生の応援という意味で、このサイトを見て下さる方にいい思いをしてほしいという想いで書いてしまいました。
頑張ってください!